「着床前診断」は遺伝性の重い病気がないか体外受精させた受精卵の遺伝子などを調べる医療行為で、日本産科婦人科学会は医療機関から申請を受けて個別に審査しています。
学会は2年前、実施を認める対象を成人までに亡くなることが多い病気などだけでなく、生活に著しい影響が出るものの命に関わることが少なかったり成人後に発症したりする病気などに広げていて、28日最新の審査の状況を公表しました。
去年は過去最多となる72例の審査が行われ、このうち58例を承認していて、網膜芽細胞腫という失明のおそれがある目のがんなどが初めて承認されたということです。
また、承認されなかったものが3例、審査が継続中のものが9例、取り下げが2例ありました。
症状の重さや実施を希望する夫婦の状況などを踏まえ、同じ病気で判断がわかれたケースもあったということです。
日本産科婦人科学会の加藤聖子理事長は「対象の拡大をきっかけにこれまで諦めていた人も申請するようになったとみられ、今後もさまざまな病気で申請が行われる可能性がある。着床前診断のあり方について議論を進めたい」と話していました。