「被爆体験者」は長崎市に原爆が投下された時、爆心地から半径12キロ以内にいながら、国が定める地域の外にいたため被爆者と認められていません。
この被爆体験者が訴えた裁判で、長崎地方裁判所は今月9日、一部の地域で「黒い雨」が降ったと判断し原告44人のうち15人を被爆者と認める判決を言い渡しました。
これを受けて、原告を支援する被爆2世の人など4人が19日、都内で厚生労働省の担当者と面会しました。
今回の裁判で国は、直接争う立場の被告ではありませんが、補助的な立場で参加していて控訴する権限があり、支援者らは厚生労働省の担当者に控訴を断念するよう求めました。
そのうえで、すべての被爆体験者を被爆者と認定するなど、新たな救済策について当事者と行政側が話し合う協議会の設置を求めました。
原告の支援者によりますと、こうした訴えについて厚生労働省の担当者は「重く受け止めている」と答えたということです。
支援者の1人で、被爆2世の平野伸人さん(77)は「全面的な解決に向けて行政と当事者がともに知恵を出し合いましょうと申し上げた。岸田総理大臣は、合理的な解決を図ると言っていて、ぜひ、この約束を守ってもらいたい」と話していました。