58年前の1966年に今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件の再審で、静岡地方裁判所は9月26日、捜査機関によって証拠がねつ造されたと指摘し、袴田巌さん(88)に無罪を言い渡しました。
袴田さんは29日、静岡市内で開かれた報告集会に出席し、判決のあと初めて公の場に姿を見せました。
袴田さんは長期間収容された影響で意思疎通が難しくなっていますが、姉のひで子さん(91)とあいさつに立ち、「待ちきれないことばでありました。無罪勝利が完全に実りました。ついに完全に全部勝ったということで、きょうはめでたく皆さんの前に出てきた」と語りました。
そして、ひで子さんから促され、「ありがとうございました」と述べました。
弁護団の事務局長の小川秀世 弁護士は、袴田さんのことばについて「今まで袴田さんに再審開始決定が出たことを伝えても、『もう終わったことだ』などと、事件について触れないような対応でしたが、無罪になったことが伝わっていて、すごくうれしいです」と涙ながらに話しました。
検察が10月10日の期限までに控訴した場合、高裁で審理が続けられることになりますが、弁護団は審理をこれ以上、長引かせるべきではないとして、検察に控訴を断念するよう申し入れています。