起訴されたのは、観光船「KAZU I」を運航していた「知床遊覧船」の社長、桂田精一被告(61)です。
おととし4月、知床半島の沖合で「KAZU I」が沈没した事故では、乗客と乗員合わせて20人が死亡、6人が行方不明になっています。
釧路地方検察庁によりますと、現場の海域には強風注意報や波浪注意報が発表され、会社の運航基準では出航を中止しなければならない風速や波の高さが予想されていました。
桂田社長は、運航管理者などとして事故を未然に防ぐ義務があるにもかかわらず、出航や航行を中止するよう船長に指示することなどを怠った結果、船を沈没させたとして、業務上過失致死の罪に問われています。
船の操縦に関与していない経営者の刑事責任が問われるのは異例です。
検察は社長の認否を明らかにしていませんが、捜査関係者によりますと、これまでの海上保安本部の調べに対し、「船が引き返す判断は船長がするものだ」などと供述しているということです。
社長の弁護士は釧路地方裁判所に保釈を請求し、裁判所が認めるかどうか判断することになります。
一方、検察は沈没後に遺体で見つかり、業務上過失致死などの疑いで書類送検された当時54歳の船長について不起訴にしました。