袴田巌さん(88)は静岡地方裁判所の再審で今月9日に無罪が確定し、逮捕から58年を経て「死刑囚」の立場から解放されました。
これを受けて、再審を担当した検察官らが11日夕方、静岡地方検察庁で事件で亡くなった被害者の遺族と面会したことが、遺族への取材でわかりました。
遺族によりますと、検察官らはまず、無罪判決に対して控訴しなかったことについて「申し訳ありません」と述べ、頭を下げて謝罪したということです。
また、遺族が控訴をしなかった理由を尋ねたところ、最高検察庁が発表した検事総長の談話を読み上げられ、それ以上の詳しい説明はなかったということです。
遺族が「未解決事件になりますが、泣き寝入りをするしかないのですか」とただすと、検察官は「時効を迎えているので捜査はできません。申し訳ありません」と述べたということです。
NHKの取材に対し、遺族は「検察の判断に異議はありませんし、受け入れようと思いますが、控訴しない理由については十分な説明を受けることができず、残念です」と話していました。