おととし12月、大阪 吹田市にある放課後等デイサービスの施設で、通っていた中学1年の男子生徒が学校から施設に到着し、送迎車から降りた際に急に走り出し、行方が分からなくなりました。
生徒は1週間後に近くの川で死亡しているのが見つかり、警察は、施設側が安全管理を怠ったことが事故につながったとして、運営する法人の社員ら2人について業務上過失致死の疑いで捜査しています。
この事件を受けて、NHKは施設を管轄する自治体のうち、人口が多い10の都道府県とその政令指定都市、中核市に情報公開請求を行い、同じような事故が起きていないか調べました。
その結果、子どもが施設を利用している最中に行方不明になったケースが昨年度までの5年間で少なくとも339件に上ることが分かりました。
都道府県別では
▽神奈川県が94件と最も多く、
次いで
▽大阪府が71件、
▽埼玉県が34件、
▽愛知県が29件、などとなっています。
このうち神戸市と愛知県岡崎市、それに大阪 吹田市の中学1年生の事故を合わせて3人の子どもが行方不明になったあと、川で死亡していました。
また、行方不明になった339件のうち、当時の具体的な状況が確認できた282件について調べたところ、
▽職員が気づかないうちに外に出てしまったケースが131件と最も多くなっていました。
次いで
▽公園で遊んでいた時や散歩などの外出中が79件、
▽送迎車を乗り降りする際にいなくなったケースが48件、などとなっています。
中にはその後、無事保護されたものの、
▽電車の線路内にいるところを発見されたケースが4件、
▽15時間以上行方が分からなくなったケースも2件ありました。
こうした現状について、子どもの福祉に詳しい関西大学の山縣文治教授は「障害の特性から思いがけない行動をとる子どももいるが、施設は職員の数が少なく、見守りの仕組みが十分ではない。子どもの安全を守るため、意欲のある施設が職員を増やしたり研修を充実させたりできるよう、国は報酬の体系を見直すなどして対策を急ぐべきだ」と指摘しています。