シンポジウムは、加害者が心神喪失などで不起訴となった事件の遺族や被害者などでつくる団体が開きました。
殺人や放火などの重大事件で精神障害による心神喪失などを理由に不起訴や無罪が確定した加害者は医療観察法に基づく手続きに移行し、入院などを経て社会復帰を目指します。
シンポジウムでは、被害者支援を行う弁護士が「通常の刑事事件と違って医療観察法の対象事件では、被害者は記録の閲覧が制限され、審判で意見を述べる制度もない」と現状を説明しました。
また、元裁判官が、「少年事件は被害者の視点で制度が見直されてきた。医療観察法も被害者への情報提供や手続きの関与について議論が必要だ」と指摘したほか、加害者の治療にあたっている医療機関の担当者は、治療の結果、謝罪の気持ちを抱く加害者もいるとして、ケースによっては、被害者と関わりを持てる方法を検討してもいいのではないかと意見を述べました。
シンポジウムを開いた「医療観察法と被害者の会」の代表で、5年前に夫を殺害された大森真理子さんは、「事件の詳しい情報を知ることは被害者自身が前に進むためにも必要だ。加害者が治療をして社会復帰を目指すことも大事だと思うが、被害者が情報を得られない現状を変えてほしい」と話していました。